サステナブル農業である、リジェネラティブ農業を追求すべきなのか?
環境再生型(リジェネラティブ)農業(またはカーボンファーミング)は自分がが今まで探し求めてきたものです。35年前、私が大学生の頃、大学の図書館で「自然農法 わら一本の革命」(福岡正信)を何度も読んだのを思い出しました。それ以降、私は植物分子生物学を行い、最近ではデータ科学に踏み込んでいます。昨年、私が愛聴しているポッドキャストでリジェネラティブ農業が紹介されました。その中で紹介されていた”Dirt To Soil” (Gabe Brown, 2018)という本を読み、著者のGabe Brownは20年以上リジェネラティブ農業を実践していることを知りました。ポッドキャストを聴いたちょうど同時期に植物とカビの共生の仕事をするようになり、私はまさに植物ーカビの共生こそがリジェネラティブ農業の肝であることに気がついたのです。
ゲイブブラウンが説いている六つの原則です。
- 土をかき乱さない
- 土を覆う
- 多様性を高める
- 土のなかに「生きた根」を保つ
- 動物を組み込む
- 6 背景
そして、リジェネラティブ農業の鍵を握るのが、土壌の有機成分と有機物の活性を測定するリック・ヘイニー博士の分析方法である。
- 水抽出性有機態炭素(WEOC)
- 水抽出性有機態窒素(WEON)
- 微生物活性炭素(MAC)
- 無機態窒素とリンの値
- 有機態窒素とリンの値・有機炭素率(C/N比)
- 一日の二酸化炭素呼吸量
リックはUSDA-ARS (農務省農業研究局)の研究員で、彼の土壌分析がUSDAのサイトで紹介されている。
現代農業に対する私の見解
Fig. 1. 現代農業に対する私の見解。マジェンタ色の箱は化石燃料で行われる活動、赤い矢印はネガティヴなインパクトをしめしています。
リジェネラティブ農業、再生可能エネルギー、廃棄物管理に対する私の見解
Fig. 2. リジェネラティブ農業、再生可能エネルギー、廃棄物管理に対する私の見解。マジェンタ色の箱は化石燃料で行われる活動、緑色の箱は再生可能エネルギーで行われる活動、赤い矢印はネガティヴなインパクトをしめしています。二酸化炭素の排出量が減少していることに注目してください。炭素が土壌に吸収されていることはこの図ではあまりハッキリ示せてはいないので、この図についての今後の課題です。
さらに知りたい方へ
- ゲイブ・ブラウンのこの本は「土を育てる 自然をよみがえらせる土壌革命」として邦訳がでています。訳者の服部雄一郎氏は元自治体のごみゴミ担当職員でサステイナブルな暮らしを実践している方です。
- California State University Chico Center for Regenerative Agriculture and Resilient Systems (CRA).
- “Carbon Farming” on NHK demand, 2022。上記服部さんのサイトで紹介されている番組です。日本各地のリジェネラティブ農業の例を紹介しています。